実習生からの就職が、増えてきた頃の話

ここまで、実習指導をめぐる試行錯誤について書いてきました。資質の確認リスト、目標設定、整形外来という領域での葛藤。完成形ではなく、今も模索の途中です。

ただ、この試行錯誤を続けてきたなかで、少しずつ望んでいた変化が見え始めました。

ここ数年、当院には毎年1人か2人、新卒のスタッフがコンスタントに入ってきてくれるようになりました。

ただ、これが実習指導に力を入れた結果なのかどうかは、正直なところわかりません。運に恵まれている部分もあると思います。だからこそ、運に頼らずに人員が確保できるよう、もっと魅力のある職場にしていかなくては、と思っています。

ただ、結果として、毎年新人が入ってくる体制になってきた。これによって、組織としての状況が変わってきました。


想定はしていた、けれど

新人が入るということは、新人教育が必要になる。

これは、当たり前のことで、当院でも新人指導は一定の期間、指導者がついておこなっています。増員を目的としていましたが、新人が育つまでの数年は、土台作りの期間になる。それは覚悟していたつもりです。

それまでの当院の指導は、特定のスタッフに依存する形でなんとか回ってきました。新人が数年に1人入るかどうかの状態であれば、熱意のあるスタッフが手厚く面倒を見て、教育の質はある程度担保できる。

問題は、それがコンスタントに入ってくるようになったときでした。

毎年1人か2人。これは、今までのやり方の延長線上では難しくなってくる人数です。

コンスタントに入ってくるようになった最初の数年は、自分が指導の中心に立っていました。マネジメント時間を確保するために増員を進めたはずなのに、新人指導で自分の時間を使う日々。これも、ある程度は覚悟していたことです。

ただ、これも続けられる形ではない。徐々に、ほかのスタッフに任せていかなくては。そう考えていました。


個人の熱意に頼った指導の限界

ここで、また同じ壁にぶつかります。

当院の指導は、良くも悪くも指導者個人の熱意に依存していることが多かったです。これは実習指導の時にも書いた構造です。良い指導のノウハウが組織として蓄積されているわけではなく、指導者の能力や熱意に頼ってきた。

新人指導を他のスタッフに任せていこうとすると、この問題が表面化しました。

熱心に教えるスタッフもいれば、自分の業務で手一杯のスタッフもいる。指導に時間をかけられる人もいれば、家庭の事情で長くは関われない人もいる。新人がついた指導者によって、得られる経験がばらつく。

これは、指導者が悪いわけではありません。それぞれが自分のできる範囲でやっている。問題は、組織として指導を支える仕組みがないことでした。

そして、仕組みがないことの弊害は、もう一つあります。

指導の負担を「新人の側の意欲や姿勢」に転嫁してしまいがちになる、ということです。

「もっと自分から学ぼうとしてほしい」「自分で考えてほしい」。気がつくと、こういう言葉が出てしまう。新人に求めることが、どんどん増えていく。

学ぶ姿勢を持ってほしいという気持ち自体は、間違っていないと思います。ただ、それを指導の前提にしてしまうと、結局は新人個人の資質に頼った指導になります。指導者と新人の熱意が噛み合えばうまくいきますが、そこにギャップがあると、かえってうまくいかなくなる。

指導者個人の熱意に頼り、新人個人の姿勢にも頼る。それは、組織として指導を回している状態とは言えません。

これは、以前の記事で書いた「個人に頼った組織運営の限界」と、まったく同じ構造でした。


頭でわかっていることと、実際にやること

新人が毎年入ってくるようになり、自分が指導の中心に立ち続けている状況。今まで通り、良くも悪くもない状態を保つことは、できなくはない。新人指導は、自分がある程度補えばなんとかなる。

ただ、このままでは、質の低い新人指導になってしまう可能性がある。そして何より、それでは組織として前に進まない。もっと良い組織にしたいと考えるなら、ここで手を打つ必要がある。

このブログでも、これまで一貫して書いてきました。個人の熱意ではなく、仕組みで支える。新人指導でも、同じことを適用する段階に来た、ということです。

頭ではずっとわかっていた。でも、実際にやってみると、これがなかなか難しい。

ここから、新人指導のマニュアル化を少しずつ進めていくことになります。その試行錯誤については、次回書いていこうと思います。


皆さんの職場では、新人指導の仕組み化について、どんな工夫をされていますか?うまくいった点、いかなかった点、よければコメントで教えていただけると嬉しいです。

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