マネジメントを学んでよかったこと——理学療法士としての遠回りに気づいた話


このブログでは現在、管理職になってからの試行錯誤を連載として書いています。この記事では、その過程で学んできたことを少し先取りして共有したいと思います。


「マネジメント」と聞くと、どんなイメージを持ちますか?

管理職のためのもの。経営の話。自分には関係ない。

正直、私もそう思っていました。

理学療法士として現場に立ち、患者さんと向き合うことが自分の仕事であり、マネジメントなんて別世界の話だと。

しかし今は、もっと早く学んでおけばよかったと思っています。


うまくいかなかった時代

管理職になる前から、後輩指導や学生指導には関わっていました。

当時の自分には、理想がありました。信念がありました。「理学療法士とはこうあるべきだ」という、自分の中での常識がありました。

そして、それを無意識のうちに他者にも求めていました。

理学療法士として患者さんに接するのだから、自分の時間やお金を使ってでも学ぶのは当然だと思っていました。それは後輩に対しても同じで、そうした方が絶対に本人のためになると信じていました。

でも、思うようにはいきませんでした。

うまくいかないと、相手の能力ややる気のせいにしてしまっていました。「なぜわからないのか」「なぜやらないのか」と。

今思えば、それは指導ではなく、ただの押し付けでした。


疲弊と諦念

そのうち、熱意を持って指導することに疲れていきました。

リハ科のために、後輩のために、と思って関わっていたはずなのに、いつの間にか「まあ、しょうがないか」という諦めに変わっていました。

相手に期待することをやめる。そうすれば、自分が傷つかなくて済む。

そんな防衛的な気持ちが、どこかにあったと思います。

でも、心の奥には葛藤がくすぶり続けていました。本当にこれでいいのか、と。


学び始めてからの気づき

管理者という立場になり、今までのやり方ではだめだと漠然と感じるようになってから、必要に迫られて情報を集めるようになりました。マネジメントを学ぼうと思って始めたわけではありません。ただ、試行錯誤する中で、自然とそういった知識が入ってくるようになりました。

そこで気づいたのは、意外なことでした。

自分のやり方が間違っていた部分もあった。でも、それは能力や人格の問題ではなかった。

価値観や環境の違いを理解していなかった。明確なシステムがなかった。心理的な要因や、学習の仕組みについて知らなかった。

知識や視点が足りなかっただけだった。そう気づいたとき、少し気持ちが楽になりました。

当時の自分には、その視点がまったくありませんでした。

「あのときの自分は、ここがだめだったのか」

理論を学ぶことで、過去の失敗に対する「答え合わせ」ができました。感覚でやっていたことに、ようやく言葉がついた感覚でした。


理学療法とマネジメントは同じ構造だった

学んでいくうちに、もう一つ気づいたことがあります。

マネジメントの思考過程は、理学療法の思考過程と本質的には同じ構造を持っているということです。

理学療法では、「評価→問題点抽出→アプローチ→再評価」という流れで患者さんに関わります。

マネジメントも同じです。現状を把握し、問題点を特定し、環境やシステムを調整し、結果を振り返る。

対象が「患者さんの身体」から「組織」や「人」に変わるだけで、本質的な構造は同じでした。

そう考えると、理学療法士はすでにマネジメントの基礎スキルを持っているのではないか。そんなふうに思うようになりました。


基礎知識がないまま指導してきた

理学療法を行う上では解剖学や生理学、運動学といった基礎知識が必要です。それと同じように、マネジメントにもマネジメントのための基礎知識が必要です。

考えてみれば当然のことでした。

でも、私たち理学療法士は、その基礎知識がないまま、学生指導や後輩指導を行ってきたのではないでしょうか。

自分がそうだったように、経験則と熱意だけで指導し、うまくいかなければ相手のせいにしてしまう。そんなことを繰り返してきたのではないか。

私自身、随分と遠回りをしたと感じています。


自分自身の学習にも使える

マネジメントを学んでよかったと思うのは、組織運営や後輩指導だけではありません。

自分自身の学習をどう進めるか、という視点でも役に立ちました。

私はこれまで、がむしゃらに勉強してきました。プライベートの多くの時間やお金を犠牲にして、ひたすら知識や技術を追い求めてきました。

それ自体を後悔しているわけではありません。でも、マネジメントや学習論を学んでから気づいたのは、自分がいかに非効率だったか、ということでした。

長い時間をかけて経験的に感じ、構築してきたことが、理論としてすでに言語化されていた。それを知っていれば、もっと効率よく学べたかもしれない。

職場に学習の仕組みが整っていなければ、自分で自分の学習をマネジメントする必要があります。そういう意味でも、マネジメントの考え方は、管理職でなくても役に立つと感じています。


管理者だけのものではない

マネジメントは、「人を管理する技術」ではありません。

「目標を達成するために、環境を整える考え方」です。

後輩指導に悩んでいる人。学生指導でうまくいかないと感じている人。自分自身のキャリアや学習の方向性に迷っている人。

そういう人にとっても、マネジメントを学ぶことは、何かのヒントになるかもしれません。

少なくとも、私にとってはそうでした。

このブログでは、私自身がマネジメントを学びながら、現場で試行錯誤してきたことを書いています。答えが出ている話ではありませんが、同じように悩んでいる誰かの参考になれば嬉しいです。


皆さんは、後輩指導や学生指導で悩んだ経験はありますか?よければコメントで教えていただけると嬉しいです。

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です